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車を買うときに、「頭金はいくら払えばいい?」と悩んだことはありませんか。一般的には車体価格の20~30%といわれますが、家計状況やライフスタイルによって適正金額は異なります。
本記事では、車を買うときの頭金の相場に加え、頭金を増やすメリットやデメリット、適正金額の決め方を解説します。返済時のシミュレーションもまとめているので、頭金で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

ウェブ上のアンケート等を参考にすると、マイカーローンの頭金は30~100万円が相場です。車両価格に対する割合では、20~30%が一般的な水準といわれています。
参考になるデータとして、ナイル株式会社が2021年に実施したアンケートの結果をまとめました。
全国の男女を対象にしたアンケート。回答人数は378名。
引用:PR TIMES「【車のローンについて調査】頭金を抑えている方が昨年より増加 | ナイル株式会社のプレスリリース」
一方で、頭金なしのフルローンで車を購入する層も多いと予想されます。同社が2023年に実施したアンケート調査(※)によると、「頭金、もしくはボーナス払いはありますか?」の問いに対して、回答者の37.2%は「ない」と回答しました。
※参考:PR TIMES「【新車のローンに関する調査】約半数が毎月「2~3万円」負担している | ナイル株式会社のプレスリリース」

頭金の目安は、車体価格や家計状況によって変わります。家計への負担を抑えるには、月々の返済額や返済総額を踏まえて金額設定をすることが重要です。
ここでは車体価格を「150万円・250万円・350万円」の3つに分けて、返済時のシミュレーションを見てみましょう。
マイカーローンの年利は、銀行系ローンで2.0~4.0%、ディーラーローンでは4.0~8.0%が目安とされています。以下では、年利を3.0%(銀行系)と6.0%(ディーラー系)のパターンに分けて、返済時のシミュレーションをまとめました。
※返済期間は5年(60ヵ月)、金利タイプは固定金利、元利均等返済を想定。
※ボーナス支払いや繰上返済、元金据置期間はなし。
※以降のシミュレーションも同じ条件で計算。
次に、車体価格を250万円にした場合のシミュレーション結果をご紹介します。
次に、車体価格350万円のシミュレーション結果を見てみましょう。

頭金を増やすと返済負担を抑えられますが、フルローンにも独自のメリットがあります。頭金を支払うか迷っている方に向けて、以下では「頭金あり」と「頭金なし」を比較しました。
| 比較項目 | 頭金あり | 頭金なし |
|---|---|---|
| 月々の返済額 | 支払った頭金に応じて減る | 大きい |
| 返済総額 | 支払った頭金に応じて減る | 大きい |
| 審査の通りやすさ | 頭金が増えるほど通りやすい | 車体価格や返済能力によっては厳しく見られる |
| 購入のタイミング | 頭金を貯める期間が必要 | 審査に通ればすぐ購入可能 |
| 手元資金 | 現金を支払うため、家計の負担になることも | 貯蓄を温存できるため、手元資金をほかの支出に回せる |
手元資金を優先したい方には、「頭金なし」が向いています。たとえば、車を購入するタイミングで家計が苦しい場合や、直近で大きな支出を予定しているケースです。 一方で、家計状況にある程度の余裕があり、返済負担を抑えたい場合は「頭金あり」を検討しましょう。
同じように頭金を支払う場合でも、頭金比率によって実際の効果は変わります。マイカーローンの頭金を増やすと、以下のようなメリットが期待できます。
・返済負担が減る
・返済期間を短縮できる
・ローン審査で有利になる場合がある
ここからは具体例を挙げながら、各メリットについて詳しく解説します。
前述のとおり、頭金を増やすと月々の返済額や返済総額(利息)を抑えられます。この効果は車体価格(借入額)が高いほど大きくなり、特に高額な車を購入する場合は、返済総額に数十万円の差が出ることもあります。


※前述のシミュレーションを参照。
実際に比較してみると、ケース②では返済総額が11万円ほど減っていることが分かります。長期的な返済負担が軽くなれば、家計やライフプラン全体に余裕が生まれるでしょう。
頭金を増やすと借入額が減るため、月々の返済額を抑える以外に、返済期間を短縮する選択肢も生まれます。
たとえば、250万円のフルローン(年利3.0%)を組み、毎月35,937円ずつ返済するとしましょう。前述のシミュレーションを参考にすると、頭金50万円のケースでは完済までに約60ヵ月かかります。
では、月々の返済額は変えずに、頭金を100万円に増やすとどうでしょうか。計算式は割愛しますが、返済期間は約45ヵ月となり、完済のタイミングが1年以上早まります。具体的にどのような効果を期待できるのか、以下で確認しましょう。
マイカーローンの利息計算は毎月行われるため、返済期間を数ヵ月短縮するだけで、返済総額が大きく変わることもあります。
自己資金で頭金を増やすと、金融機関から「返済能力がある」と判断される可能性があります。場合によっては金利の優遇や返済期間の延長など、より良い条件で借り入れることにもつながります。
ただし、頭金のために別の融資を受ける方法は得策ではありません。金融機関が評価するのは、あくまで返済能力に関わる要素(自己資金や収入事情、保有資産など)なので、頭金は自己資金でまかないましょう。
家計状況によっては、車の頭金が大きな負担になることもあります。以下では、頭金を増やす2つのデメリットを解説します。
車の頭金を支払うには、まとまった手元資金が必要です。基本的には自由に金額を設定できますが、最低金額が決められているローンもあります。
手元資金が減ると、日常生活や将来のライフプランに影響したり、急な出費(けがや病気など)に対応できなくなったりするかもしれません。予期せぬ事態も想定したうえで、慎重に金額を決めることが重要です。
自己資金に対して頭金が多すぎると、資金の用意に時間がかかります。また、フルローンに比べて支払いの手間が増えるため、車の購入時期が遅れることもあるでしょう。
スムーズに車を購入したい場合は、無理のない範囲で用意できる金額を確認し、頭金の支払い方法も事前に検討することが大切です。

車の頭金にはデメリットもあるため、多く用意することが正解とは限りません。ここでは2つのケースに分けて、頭金における適正金額の考え方を解説します。
マイカーローンを組んだ経験がない場合は、返済中の負担や生活をイメージしづらいかもしれません。特に手元資金が少ない人や、働き始めて間もない10~20代は、慎重に頭金を設定することが大切です。
無理のない金額設定をするために、まずは手元資金を以下のカテゴリに分けましょう。
貯蓄:銀行口座などに預けているお金。
生活防衛資金:生活のために最低限必要になるお金。
準備資金:すでに予定している大きな支出や、病気などに備えるためのお金。
手元資金の分類が終わったら、以下の計算式で余剰資金(自由に使えるお金)を計算します。
余剰資金=貯蓄-(数ヵ月分の生活防衛資金+準備資金)
余剰資金の範囲内に抑えれば、頭金の払い過ぎを防げます。ただし、頭金が少ないと返済負担が増えるため、事前に月々の返済額をシミュレーションし、収入面と比較するようにしてください。
すでにマイカーを所有している場合は、その車を「売却または下取りに出すか?」で頭金の考え方が変わります。
マイカーを手放す方は、事前に売却価格や下取り価格を確認し、二台目の頭金に回す分を考えましょう。高額で買い取ってもらえる場合は、手元資金を使わずに済むこともあります。
二台目の頭金に回さない方や、そもそも売却・下取りをしない方については、余剰資金の計算から始める方法がおすすめです。月々の返済額もシミュレーションしたうえで、頭金の適正金額を判断しましょう。
ここまで解説したように、頭金はむやみに増やせばよいものではありません。家計への負担や返済負担を抑えたい方は、以下の注意点も意識して計画を立てましょう。
車の購入時には、車体価格とは別に「諸費用」がかかります。想定外の出費になることもあるため、隠れコストを含めた全体の金額を確認したうえで、借入額や頭金を設定することが大切です。
実際にどのようなコストがあるのか、以下では主な諸費用をまとめました。
上記のほか、ケースによっては下取り代行費用や納車費用(販売店からの移送費)がかかることもあります。販売店にきちんと確認を取り、「車体価格+諸費用」の合計金額を把握しておきましょう。
どのような目的でも、追加借入で頭金を調達する方法は逆効果です。
たとえば、借り入れた資金を自由に使えるフリーローンは、マイカーローンよりも金利が高い傾向にあります。フリーローンで頭金を全額支払うよりも、マイカーローンでフルローンを組んだほうが返済総額を抑えやすいため、頭金のために借入をする利点はほぼありません。
マイカーローンの審査についても同様です。金融機関が評価するのは、あくまで自己資金で支払われた頭金になるため、追加借入で審査を有利に進めることは難しいでしょう。
中古車は残価(将来の価値)が下がりやすいため、長期ローンを組むと「ローン残債>車両価値」の状態になりがちです。このような中古車を売却すると、ローンだけが残る状態になってしまいます。
いわゆる逆ザヤの状態を避けるには、頭金を増やして返済期間を短縮するなどの工夫が必要です。特に価値が下がりやすい中古車を購入する場合は、借入額と頭金を慎重に考えましょう。
通常、車の頭金は契約から引き渡し(納車)までの間に支払います。具体的には契約日や納車日、納車日決定時に支払うパターンがあります。販売店によって支払うタイミングが異なる可能性もあるので、契約前に確認をしておきましょう。
頭金の支払い方法には、現金、銀行振込、クレジットカード払いがあります。販売店や金融機関によっては、契約時と納車時の分割払いにも対応しています。クレジットカードを使用する場合は、支払い月の限度額を確認しておきましょう。
頭金の下限金額は、車体価格の10%前後に設定されているケースが一般的です。車体価格250万円の車では、約25万円が下限の目安になります。販売店や金融機関によっては、頭金の上限金額や借入限度額も設定されているため、事前の確認が必要です。
マイカーローンは、ウェブや購入する車の販売店から申し込めます。実際の流れは金融機関によって異なりますが、一般的には以下のとおりです。
1.仮審査申込み
2.仮審査結果の通知
3.本申込み
4.契約手続き
5.融資実行
車の購入時期が遅れないように、早めの準備を心がけましょう。
車の頭金には相場があるものの、適正金額は人それぞれです。頭金を増やすと返済負担は抑えられますが、手元資金が減ることで生活が圧迫されるかもしれません。
自身に合った頭金を設定するには、車両価格や家計状況、将来のライフプランなどを踏まえて、総合的に判断することが大切です。本記事のように細かくシミュレーションをして、無理なく返済負担を抑えられる金額を設定しましょう。