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住宅ローンを組むと、「車を購入したいけどローンは組める?」と疑問に感じることがあります。結論から言うと、住宅ローンの返済中に追加借入をすることは可能ですが、家計への影響は慎重に判断することが重要です。
本記事では、住宅ローンとマイカーローンを安全に併用するポイントや、審査に影響する「返済負担率」について解説しました。追加借入ができないときの対策もまとめているので、車の購入資金で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
申請する金融機関が別々でも、住宅ローンとマイカーローンは併用が認められています。ただし、希望通りの金額を借り入れるには、以下のポイントを押さえることが重要です。
なお、住宅ローンに上乗せして車の購入資金を借り入れたり、住宅ローンにマイカーローンを組み入れたりすることは原則できません。併用自体は可能ですが、方法によっては規約違反にあたる場合もあるので、不安を感じた部分は契約中の金融機関に問い合わせましょう。
返済負担率とは、年収に占める返済額の割合を表した指標です。「返済比率」とも呼ばれており、主に金融機関が融資の可否や借入可能額を判断する際に用いられます。
一方で、借りる側(債務者)が自身の返済負担率を把握することも欠かせません。返済負担率を意識せずにローンを併用すると、毎月の返済額が想像以上に大きくなり、家計を圧迫する恐れがあります。
無理のない返済計画を立てるために、ここからは返済負担率の「計算方法」と「目安」について解説します。
返済負担率の計算式は、以下のとおりです。
ゆとりのある返済計画を立てたい方は、年収を「手取り年収」にして計算しましょう。手取りに対する返済額の割合を把握することで、「実生活にどれくらい影響するか?」を具体的に調べられます。
すでにローンを併用している方は、「複数ローンの合計返済額」で計算をしてみてください。
住宅ローンの返済負担率は、15~20%以内が一般的な水準です。以下では、住宅金融支援機構が2025年4月に調査した住宅ローンの返済負担率をまとめました。
住宅ローンの返済負担率 | 回答者の割合(n=1,397) |
---|---|
10%以内 | 14.0% |
10%超~15%以内 | 21.2% |
15%超~20%以内 | 24.3% |
20%超~25%以内 | 18.0% |
25%超~30%以内 | 11.5% |
30%超~35%以内 | 6.2% |
35%超~40%以内 | 2.7% |
40%超 | 2.1% |
参考:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)】」
返済負担率に明確な基準はありませんが、安心して返済できる基準は20~25%といわれています。複数のローンを併用する場合は、この目安を超えないように毎月の返済額を設定しましょう。
すでに住宅ローンを組んでおり、追加での借入を考えている方は、「いくらまでなら安全に借りられるか?」を慎重に判断することが大切です。以下では、住宅ローンの返済額を月10万円として、返済負担率が25%に達する追加返済額をシミュレーションしました。
年収 | 住宅ローンの返済負担率 | 返済負担率25%に達する追加返済額(年間) | 追加返済額の月額換算 |
---|---|---|---|
400万円 | 30.0% | 0円(すでに超過) | 0円 |
500万円 | 24.0% | 5万円 | 4,166円 |
600万円 | 20.0% | 30万円 | 2万5,000円 |
700万円 | 17.1% | 55万円 | 4万5,833円 |
800万円 | 15.0% | 80万円 | 6万6,666円 |
900万円 | 13.3% | 105万円 | 8万7,500円 |
1000万円 | 12.0% | 130万円 | 10万8,333円 |
※小数点以下は切り捨て
上記の「返済負担率25%に達する追加返済額」は、「年収×25%-年間のローン返済額」の式で計算できます。住宅ローンの返済額が異なる方は、こちらの式でシミュレーションをしてください。
住宅ローンとマイカーローンを併用すると、月々の返済額が膨らみ、家計を圧迫してしまうことがあります。ここでは、併用時に意識したい注意点や、安全に追加借入をするポイントについて解説します。
追加のローンを組む前には、返済負担率に加えて家計のシミュレーションも欠かせません。毎月の収支を把握すると、「いくらまでなら借りられるか?」がより明確になり、無理のない返済計画を立てやすくなります。
以下の表は、総務省による家計調査(2024年)の平均支出額をまとめたものです。直近の支出がわからない方は、参考にしながらシミュレーションをしてみましょう。
支出項目 | 単身世帯の平均 | 2人以上世帯の平均 |
---|---|---|
食料 | 4万3,941円 | 8万5,040円 |
住居 | 2万3,372円 | 1万8,074円 |
光熱・水道 | 1万2,816円 | 2万3,110円 |
家具・家事用品 | 5,822円 | 1万2,615円 |
被服及び履物 | 4,881円 | 9,609円 |
保健医療 | 8,394円 | 1万5,276円 |
交通・通信 | 2万418円 | 4万1,588円 |
教育・教養娯楽 | 1万9,528円 | 4万801円 |
その他の消費支出 | 3万375円 | 5万4,132円 |
合計額 | 16万9,547円 | 30万243円 |
参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 単身世帯用途分類 001 用途分類(総数) 全国 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口」
参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯用途分類 001 用途分類(総数) | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口」
正確に家計をシミュレーションしたい方や、過去のデータを見返したい方には、家計アプリや表計算ソフトの利用がおすすめです。追加でローンを組んでからも家計管理は必要になるため、長続きしやすい方法を選んでみてください。
金融機関が設定した借入可能額と、安全に追加借入できる金額はまったく別のものです。借入可能額の上限まで融資を受けると、返済負担率が一気に上がって家計が回らなくなるかもしれません。
そのため、安易に借入金額を増やすことは避けて、以下のような対策を考えましょう。
繰上げ返済については、貯蓄を取り崩した後の家計もシミュレーションし、生活費や教育資金を圧迫しない範囲で行ってください。
マイカーローンに比べると、住宅ローンは金利が低い傾向にあります。たとえば、フラット35の金利は2025年9月時点で年1.890%~4.390%ですが、借入金額や返済期間を考慮すると、利息負担が軽くなるとは限りません。
仮にフラット35の最低金利で2,000万円を借り入れたとして、実際の利息負担を計算してみます。
返済期間 | 返済総額 | 利息分 |
---|---|---|
15年 | 2,299万円 | 299万円 |
20年 | 2,404万円 | 404万円 |
25年 | 2,512万円 | 512万円 |
30年 | 2,622万円 | 622万円 |
35年 | 2,736万円 | 736万円 |
※返済方法は元利均等返済、ボーナス払いはなしで計算しています。
15年で完済するケースでも、支払う利息は約300万円になりました。利息負担を減らすには、住宅ローンの返済期間を短くする必要があるため、返済負担率だけを見て「追加借入できる」と判断することは危険です。
完済までのシミュレーションも行ったうえで、家計の負担にならないローンの併用方法を考えましょう。
追加借入の審査に落ちてしまった場合、再度の申し込みは望ましい手段ではありません。申し込み履歴は信用情報に残る可能性があるため、審査に落ちたときは別の方法を考えることが重要です。
ここからは、住宅ローンとマイカーローンを併用できないときの対策をご紹介します。
現在借り入れているローンの残債が減ると、将来の返済負担率が下がるため、審査に有利な状況を作れます。家計にある程度の余裕がある方は、繰上げ返済やボーナス返済を活用しましょう。
ただし、ローン残債を減らすには現金が必要です。家計の圧迫につながる可能性もあるため、無理にローン残債を減らすことは望ましくありません。まずは生活費や将来の備えを優先し、ゆとりのある返済計画を立てましょう。
同じ金融機関でマイカーローンを申し込むと、住宅ローンの返済実績を評価してもらえる場合があります。金融機関によっては、金利などの返済条件が優遇されることもあるでしょう。
しかし、安易に同じ金融機関を選ぶと、他社のローンと比較する機会を逃すかもしれません。ローン以外の選択肢もあるので、最終的には同じ金融機関を選ぶとしても、事前にしっかりと情報収集をすることが大切です。
フリーローンとは、資金使途に制限がかからない無担保のローンです。車の購入費用に加えて、保険料やオプション料などの付随費用を借りたいときにも活用できます。
しかし、最大で年20%の金利がかかるため、一般的なマイカーローンよりも返済負担が大きくなりがちです。金融機関によっては即日融資にも対応していますが、借入前には綿密な返済シミュレーションが欠かせません。
また、貸金業者のフリーローンは総量規制の対象となるため、年収の3分の1を超える借入は原則禁止されています。
ローン完済後の車を持っている方は、カーリースバックも選択肢のひとつです。車によっては数百万円の資金を調達でき、資金の使い道が制限されることもないため、カーリースバックはマイカーローンの代わりとして活用できます。
カーリースバックとは、車を売却するのと同時にリース契約を結ぶサービスです。リース料を払い続けることで愛車を手放さずに現金化できるため、「お金が必要だけどローン審査に通らない…」「でもライフスタイルは変えたくない」といった方に向いています。
上記のほか、カーリースバックは住宅を購入するときにも活用できます。たとえば、売却資金でマイホームの頭金を増やすと、住宅ローンの返済総額を抑えたり、ワンランク上の物件を購入できたりする可能性があります。
また、夫婦それぞれの所有車を売却し、さらに頭金を増やすような選択肢もあるでしょう。もちろん、独身の方が住宅を購入するケースや、ファミリー層がマンションを購入する際にもカーリースバックは活用できます。
ここでは住宅ローンとマイカーローンを併用する場合に、疑問に感じやすいポイントをQ&A形式でまとめました。
住宅ローンとマイカーローンは併用可能ですが、返済総額が増えると家計を圧迫するリスクもあります。20~25%の返済負担率を目安として、この範囲を超えないように借入額や返済プランを調整しましょう。
もし追加借入が難しい場合でも、資金調達や車の購入を諦める必要はありません。カーリースバックなどの手段も視野に入れることで、目的を達成できることがあります。ローン以外の選択肢を探している方は、当社のマイカーリースバックサービス「クルマネー」を検討してみてください。